古代都市ダマスクス

  1979年登録 / 文化遺産

ダマスカスはシリアの首都。また、ダマスカスは紀元前8000年から10000年もの昔から人が定住していたことが分かっており、世界で最も古くから人が住む都市の一つとして知られる。

メソポタミアとエジプト、アラビア半島とアナトリアを結ぶ東西・南北のキャラバン・ルートの要衝にあることから、長い間、商業の中心地として大きな役割を果たしてきた。
古くは乾燥果実・ワイン・羊毛・リンネル・絹で有名で、一種のパターン化された織り方でおられたダマスク織は、ダマスカスでおられた絹の織物にちなんでいる。また、非常に硬くて丈夫なダマスカス鋼剣刃でも広く知られている。

旧市街の道路はパウロが生活したことになっている「直線通り」と呼ばれる通りを除き、狭く曲がっている。
家屋は、平たく窓のない外面に対し、内側には噴水のある石やタイル張りの中庭があり、きれいな部屋が中庭をとり囲んでいるのが一般的。

ダマスカスには200以上のモスクがあるが、実際には70ぐらいのモスクしか使われていない。それらのうち、ウマイヤド・モスクはもっとも重要とされている。

ウマイヤド・モスクは当初、4世紀の終わりにローマ時代の神殿がキリスト教教会に変えられ、聖ヨハネ教会と名づけられていた。教会内には洗礼者聖ヨハネの頭が埋葬されているという伝説がある。
その後、ウマイヤ朝時代の705〜715年にワリード1世が教会の一部を転用してウマイヤ・モスクを建造した。
現存するモスクで現在でも利用されているモスクとしては世界最古であり、規模も最大級である。また、聖ヨハネの墓も祭られている。