マテーラの洞窟住居

  1993年登録 / 文化遺産

マテーラは世界でもとくに長い歴史をもち、数多くの文明を生きてきた遺跡である。
周辺区域では7000年以上前(石器時代)の集落も発掘された。

紀元前6世紀、古代ギリシャの都市であるメタポントゥム(Metapontum)、エラクレア(Eraclea)の住民がここに隠居するようになり、二つの都市の頭文字をとってマテーラ(Matera)と名付けた。
起伏にとんだ地形は長年にわたる石灰岩の侵食によるもので、自然の脅威といえよう。街全体が巨大な岩山を構成しており、岩をくり抜いてつくった洞窟住居(サッシ)は旧市街で見ることができる。

8世紀、戦争を逃れた修道僧がマテーラに流れ込み、修道院などの建築物をつくって街は更に拡大する。

16世紀、ナポリ王国の支配下では1万人をこえるまで繁栄し、新たな土地の開拓をおこなった。住民の暮らしは新市街へと移り、並行して政府の機関も集中した。こうして洞窟住居は次第に見捨てられていく。
家という概念のなかった旧時代の遺物。サッシは当時の名残だと考えられている。

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