シリア南部のボスラアッシャーム近郊にある古代都市遺跡ボスラは、紀元前後にアラビア半島北部を支配したナバテア王国の要衝の地として築かれた。
ナバテア人はアラブ系民族だったが、文化的にはギリシャの影響を強く受けている。
2世紀、ナバテアはトラヤヌス帝に征服され、ボスラはローマのアラビア属州の州都とされた。
その後、12世紀頃に荒廃し、今では広い列柱道路、城門と城壁、数棟のモスク、大聖堂、トラヤヌス帝の宮殿が往時の繁栄の名残をとどめている。
ボスラの代表的な構造物はローマ劇場で、この地方で採取された黒い玄武岩で造られているため、全体的に黒いのが特徴。観客席は、5000人収容でき、ローマ劇場としては中東最大。2世紀に建てられているにもかかわらず、その保存状態は素晴らしく、現在でも演奏会等で使われている。
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