ナポリ歴史地区

  1995年登録 / 文化遺産

ナポリ旧市街は古代ギリシャ人の築いた植民市。ギリシャ語でネアポリス「新しい町」と呼ばれていた。
紀元前4世紀、ローマに占領され、富裕なローマ人の別荘地として栄え、5世紀にローマ帝国が滅亡すると街は衰退し、6世紀にビザンティン帝国の軍隊に占領された。

8世紀には独立公国となり、1139年ノルマン人に征服され、続いてシチリア王国に併合。1282年の「シチリアの晩鐘」事件でシチリア島を追われた王がナポリに移転、ナポリ王国の首都となった。
15世紀〜18世紀はアラゴン家の支配下に入り、文化、芸術も盛んであった。

12世紀の城カステル・デローボは要塞として築かれ、20世紀後半まで実際に海軍省の基地として使用されていた。城を築く際、基礎に卵を埋め、「この卵が割れる時は、城はおろかナポリの街まで危機が迫る」と呪文をかけられたという伝説から通称卵城と呼ばれている。

ナポリの旧王宮パラッツォ・レアレは17世紀初めに建設。歴代のナポリ王や両シチリア王についていたブルボン家の王宮だった。現在は国立図書館になっており、豪華な宮殿装飾を見ることが出来る。

また、サン・カルロ劇場(1737年創建、1816年再建)が隣接しており、オペラの公演で名高い。このサン・カルロ劇場は、ミラノの「スカラ座」、ローマの「ローマ歌劇場」と並んで、イタリア三大歌劇場の一つに数えられ、劇場としてはヨーロッパで現役最古のものである。

教会建築が多数ある中でもっとも有名なものが、サン・ジェンナーロ大聖堂である。13世紀に着工、ファサードは19世紀のものだ。
大聖堂にはナポリの守護聖人、聖ジェンナーロの墓と、聖ジェンナーロが処刑されたときに流した血が保管されている。毎年5月と9月にこの血は溶けだし、ナポリを災害から守っている証だと信じる奇跡祭を行う。

ナポリは、暖かい気候、ヴェスビオ火山やサンタルチア港など、美しい風景は「ナポリを見て死ね」のことわざを生み、数々の歌劇で歌われる。