アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群

  1979年登録 / 文化遺産

ナイル川をアスワンから南へ280kmほどさかのぼり、河岸の断崖にきざまれた古代エジプトの岩窟神殿遺跡。

紀元前1250年ごろに古代エジプトのファラオであるラメセス2世によって作られた7神殿のうちの2つ。もともと遺跡のあったヌビア地方がアスワン・ハイ・ダムの建設によって水没することになったため、ユネスコの援助で1964〜68年、両神殿をナイル川より64m高い場所に解体・移築した。

アブシンベル大神殿の正面にはラメセス2世の4体の椅座(いざ)像があり、それぞれ高さは20mをこえる。

その内部は55m以上の奥行きがあり、大列柱室と小列柱室が中央奥の至聖所へと続く。
大神殿の大列柱室には、死をつかさどる神オシリスの姿をしたラメセス2世の彫像が8体たっており、壁面にはヒエログリフ(聖刻文字)やレリーフ(浮彫)が一面にきざまれている。エジプトのラメセス2世軍とヒッタイト軍によるカデシュの戦いを描いたレリーフは一見の価値あり。

至聖所にはラメセス2世のミイラと、ラー・ホルアクティ、プタハ、アメン・ラーの3神を祭っている。
聖壇は東向きで春分と秋分の日に、日の出の光がこれらの像を照らすよう設計されている。

北へ200mはなれたアブシンベル小神殿には、王妃ネフェルタリと女神ハトホルが祭られ、正面には高さ10mほどの王と、ハトホルをかたどった王妃の立像6体が彫られている。

イシス神殿は、女神イシスを祀る神殿で、古代エジプトの末期、プトレマイオス王朝時代 (紀元前305年 - 紀元前30年) にフィラエ島に建てらた、古代の神殿建築。

13世紀頃まで教会として機能していたため、破壊から逃れることが出来、神殿としての保存状態は良い。
数ある古代エジプトの神殿群の中でも特に美しいことで知られる神殿である。