セビージャの大聖堂、アルカサルとインディアス古文書館

  1987年登録 / 文化遺産

セビージャはスペイン南部、アンダルシア州の州都。セビージャにはスペインで唯一、内陸の港があり、大西洋まで航行可能なグアダルキビル川が町中を貫いている。そのため、古くから重要な拠点となってきた。
新大陸であることを証明したアメリゴ・ベスプッチや、1519年に世界一周の旅に出たマゼランもここセビージャから出発しており、大航海時代の表舞台で大きな役割を果たしてきた町である。
ちなみに、日本語表記ではセビリアとも呼ばれているが、スペイン語の発音ではセビージャと呼ぶのが一般的である。

古代ローマ時代よりアンダルシア地方の中心都市であったが、712年から約500年に渡り、イベリア半島へ渡ってきたムーア人の支配を受ける。
このイスラム勢力の支配によってイスラム文化と芸術の発展を遂げた。

しかし1248年、レコンキスタを推し進めるカスティーリャ王国の王フェルナンド3世によってセビージャが奪還され、再びキリスト教徒による統治が再開。そして世界は大航海時代を向かえ、コロンブスの新大陸発見後、セビージャはアメリカ大陸との貿易港として栄え、新大陸への旅の拠点、そして新大陸との交易独占権を確保したことによって、ヨーロッパ最強の国という地位を確立しつつあったカスティーリャ王国の繁栄を支える町へと発展した。

セビリア大聖堂(カテドラル)

スペイン最大の後期ゴシック様式のカテドラル。モスクの跡に建てられたため幅116m、奥行76m、高さ56mと聖堂にしては珍しい幅広な形となっている。
セビリア大聖堂は1402年から1519年の完成まで、実に100年以上の時間を要しており、建物はフランボワイヤン様式の装飾を備えた後期ゴシック様式。
その規模はバチカンのサン・ピエトロ大聖堂、ロンドンのセント・ポール大聖堂についで世界第三位と知られるが、ゴシック様式の教会堂としては世界最大である。
この大聖堂の「ヒラルダの塔」は、1196年にイスラム教徒がモスクに付随するミナレットとして建造したもので、モスクの解体後、教会の鐘楼として残された。
大聖堂の中には、1248年にセビーリャをイスラム教徒の手から奪ったカスティリャのフェルナンド3世の墓と、アメリカ大陸の発見者であるコロンブスの墓もあり、大航海の時代にこの町がはたした役割を伺い知ることができる。

アルカサル

アルカサールとはアラビア語で宮殿の意味。イスラム教徒が12世紀に築いた要塞宮殿だが、フェルナンド3世によるセビージャ奪還後、キリスト教の王のための王宮となり、現存するほとんどの部分は14世紀のもので、セビージャ最古の建物。ムデハル様式が基本。
グラナダやトレドからも優れた腕の棟梁、左官、装飾職人を呼んで作られている。君主が交代する度に当時の流行や君主の趣味で新たな装飾が組み込まれたり、覆い隠すように重ねたりした結果、ゴシック様式やルネッサンス様式がちぐはぐに混在する形になった。

インディアス古文書館

フェリペ2世の命で1572年に建てられ、当時新大陸から流入する、莫大な金銀をチェックする通商院・商品取引所として使われた。 18世紀に古文書館となり、新大陸(アメリカ)の移民・統治に関する全ての公式文書が、ここに集められた。ちなみに、インディアスとは、コロンブスがたどり着いた新大陸がインドであると信じていたため、インディアスと呼ばれることななった。インディアス古文書館には8600万の古文書が保管されており、大変貴重な資料が残る、世界最大の文書保管庫である。