マチュ・ピチュの歴史保護区

  1983年登録 / 複合遺産

マチュ・ピチュはペルーのクスコ北西約80km、周囲を渓谷や高峰に囲まれ、標高2500mのアンデス山中にあるインカ文明の代表的な都市遺跡。
しばしば “インカの失われた都市” や “空中都市” と呼ばれることもあるが、通常の都市とは違い、インカの王族や貴族のための避暑地・離宮として機能していたと考えられており、最大でも約750名の住民しかいなかったと推定されている。 しかし、マチュ・ピチュには未だに解明されていない多くの謎がある。

マチュ・ピチュは、インカの王パチャクティの時代の1440年頃に建設が着手され、1532年にスペイン人により征服されるまでの約80年間、人々の生活が続いていた。 しかし、その立地柄、山裾からその存在を確認することができず、アメリカの探検家ハイラム・ビンガムが1911年に発見するまで 3世紀以上も忘れ去られていた。

遺跡の広さは13kuにもおよび、山の斜面に段々畑がつくられ、比較的なだらかな所には広場、宗教区、居住区などがある。建築物の大半は1部屋だけの石造りになっており、中庭を中心に配置されている。
大きな建物もいくつかあるが、神殿など宗教目的につかわれたのであろう。整形された角石が精巧に積み上げられている様は、当時の土木工学や職人的技術がすぐれたものであったことを示している。

ペルーを征服したスペイン人の書物にマチュ・ピチュの記録はないため、人々が居住していた時期は不明だが、スペインの侵略後もアンデスの高峰に守られて存続した。

ビンガムはスペイン人の侵略から逃げてきたクスコのインカ人たちが最後に隠れ住んだ所だと考えたが、その歴史は闇の中である。

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