ボロブドゥル寺院遺跡群

  1991年登録 / 文化遺産

ジャワ島中央部、密林に囲まれたジョグジャカルタの北西約40kmに位置する、世界最大の仏教遺跡。ジャワ仏教文化の最盛期であった8世紀に建造された。
しかし、10世紀に王朝が衰退、更にムラピ火山の噴火によって火山灰に埋もれ、ヒンドゥー教の台頭など仏教が衰退したことで11世紀以降は完全に忘れ去られていった。それから数百年の年月が経った1814年、イギリス人のトーマス・ラッフルズ(当時ジャワ総督代理)が森の中で発見し、1842年に発掘が始まった。

ボロブドゥールの大きさは一辺が115m四方、高さ35mで、四角い土台と円形の石積みを組み合わせた階段ピラミッド状建造物だが、内部空間を持たないのが特徴。
4.8kmの回廊の表面には仏陀の生涯や仏教のストーリーを表すレリーフが2500面以上も彫られており、その総面積は2500m2にも及ぶ。これらの洗練された浮彫彫刻はインドのグプタ朝建築の影響を色濃く示し、円壇にある72基のストゥーパ(仏塔)のそれぞれの中に仏像が納められている。

ボロブドゥールの構造は、仏教の三界を表しているとされ、下から、基壇は人間のいる欲界、その上は神と人間が触れあう世界である色界、最上部は神のいる無色界である。この仏教的な宇宙観を象徴したと考えられる構成は、カンボジアのアンコール・ワットにも大きな影響を与えた。

ただ、これまで何度も調査が行われて来たが全ては仮説であり、「誰が何の目的で建てた?」と言う核心に迫る部分は、未だに謎のままである。

インドネシアの世界遺産
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