モン-サン-ミシェルとその湾

  1979年登録 / 文化遺産

モン-サン-ミシェルは古くはケルト人から墓の山と呼ばれ、信仰の対象となっていた山に、708年、ノルマンディーの司教オベールが夢の中で大天使ミカエルのお告げを受けたことによって、礼拝堂を作ったのが始まりである。

その後、数世紀に渡って増改築が繰り返され11世紀にはロマネスク様式の大聖堂と修道院、13世紀にはゴシック様式の回廊と食堂が作られていき、次第に巡礼地として栄えていくようになると、山の麓に向かって集落が出来ていく。
モンサンミッシェルはその建設に500年以上かかり、1521年に完成。

モンサンミッシェルが現在の姿になったのが16世紀に入ってからのことで、それまでの間、14世紀にはイギリスとフランスの間で繰り広げられた100年戦争の要塞として機能。

更に、ルイ11世時代からナポレオン3世の時代までは監獄として利用されていたりと、宗教と政治の狭間で揺れ動いてきた歴史を持つ修道院である。

モンサンミッシェルの周辺は、潮の干潮が激しいことでも知られ、時速10kmで18kmも海岸線が後退することもあり、ヨーロッパ最大の干満差が観測されている。ちなみに、引き潮のときは島と本土の間の海底が現れ陸続きになるので歩いて行けるが、かつては満潮になると島への道が消えてしまい、波にのまれた巡礼者も数多かった。命がけの巡礼である。