シエナ歴史地区

  1995年登録 / 文化遺産

シエナは、トスカーナの丘陵地帯に築かれた中世イタリアの都市国家の様相をそのまま今に伝える美しい町。1240年に創立されたシエナ大学や音楽院を持つ、学問と芸術の町として知られる。
古くはイタリア半島の先住民族エトルリアに紀元を持つとされ、古代ローマの時代には軍事植民地であったことが記録に残っている。

シエナが絶頂を迎えたのが宿敵のフィレンツェに奇跡的な勝利を収めた1260年頃で、ドゥオモやカンポ広場、市庁舎などの見事な建物はこの時期に建てられてい る。
しかし、1348年にこの町をペストが襲い、人口の3分の2を奪われたためにシエナの衰退が始まった。
そして16世紀、シエナはフィレンツェによって包囲され、完全に勢力を失った。フィレンツェは再度シエナが力を付けることが出来ぬよう、この町での新たな開発を抑止させたために、中世の建物ばかりの町となったわけである。

シエナは中世の時代から現在まで銀行業が盛んで、中でも現在営業している銀行では世界最古の歴史を持つモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行(1472年創業)の本店があることで有名。

現在イタリアの3大銀行の一つで、従業員の51%がシエナの市民。世界中に事務所を持ち、各国の事務所に必ず一人シエナ人がいる。利益の40%はシエナ市に還元されており、現在に至るまでシエナに多大な影響を与えている。