セゴビア旧市街とローマ水道橋

  1985年登録 / 文化遺産

セゴビアは、海抜1000メートルのスペイン中部、エレスマ川に面し、マドリードから87kmの場所に位置する。カスティーリャ・イ・レオン州セゴビア県の県都である。
市内でもっとも古い地区は、11〜12世紀に起源を持ち、86の塔と市壁で囲まれ、古代ローマ時代から中世までの歴史的建造物が数多く残されている。
中世の時代には王族や貴族がここに住居を構え、カスティーリャ王国の政治・経済の中心地として繁栄を築いた。

中でも、セゴビアの象徴とも言えるのがローマ水道橋。古代ローマ帝国が地中海全域に領土を拡大した、紀元1世紀頃に建設されたと推測され、18km離れた水源からセゴビアの町に水を運んでいた。現在残る水道橋は全長813m、最も高い所で28.5m。スペインに今も残っているローマ時代の遺跡としては最大のもの。世界で最も保存状態の良い水道橋と言われており、その存在感は圧巻である。
セゴビアのローマ水道橋は128のアーチで構成され、2万個以上の巨大な石を積み上げて作られている。驚くことに、石はくぎなどで接合されておらず、ただ積み上げられているだけである。古代ローマの驚異的な土木技術が伺える建造物。また、19世紀末まで実際に使われてきただけでなく、現在も水道橋は水を流すことができる。

アルカサルはセゴビア城とも呼ばれ、ムーア人が砦として建設したことに始まり、13世紀以降、歴代の王によって増改築が繰り返されてきた。ちなみにアルカサルとはアラビア語で「宮殿」を意味する。
その後増改築が繰り返され、15世紀、イサベル女王の父フワン2世と兄のエンリケ4世が大改築を行ない、現在の優雅な姿になった。スペインにある城の中でも最も美しいと言われる。ディズニー映画「白雪姫」に登場する城のモデルになっていることでも知られている。

旧市街の中心、マヨール広場にそびえるのは、ルネッサンスの最盛期となる16世紀に建てられた、ゴシック様式の壮大なセゴビア大聖堂(カテドラル)。

1521年に反乱による火災で焼失したため、現在のカテドラルは1525〜1768年にかけて再建したものである。鐘楼の高さは110mあり、円天井は約33m、奥行き105m、幅48m。スペインで最後のゴシック教会建築と言われる。