カンタベリー大聖堂、聖オーガスティン大修道院と聖マーティン教会

  1988年登録 / 文化遺産

カンタベリー大聖堂は、イギリスのゴシック建築中もっとも壮麗で歴史の古い大聖堂。正式名称はクライスト・チャーチ。
英国国教会の大本山であり、この大聖堂の主教は全イングランドの首席主教でもある。中世にはトマス・ベケットの霊廟(れいびょう)として大勢の巡礼者が訪れた。

ベケットは大法官兼カンタベリー大司教だったが、イングランド王ヘンリー2世の命令により、大聖堂内で殺害された。ベケットの霊廟はその後ヘンリー7世によって破壊され、殺害現場は記念のプレートで示されている。

597年に完成して以来、この大聖堂は大司教の管轄下におかれた。この年、聖アウグスティヌスはアングロ・サクソン人をキリスト教に改宗させるためローマを出発、ケント州のサネットに到着して、初代の大司教に就任する。

もともとの建物は1067年の火災で焼失し、ロマネスク様式で再建された。
今日みられる内部のゴシック装飾はおもにフランスの工匠ギヨーム・ド・サンスとイギリス人建築家ヘンリー・イェーベルの設計である。

中央の大きな塔はベル・ハリーと呼ばれ、イギリス人の石工ジョン・ワステルが15世紀後半に立てたもの。
地下にある礼拝堂は16世紀にカトリックの弾圧をのがれたユグノーの隠れ家となった。また、チョーサーの「カンタベリー物語」は、高貴な愛、寓話、教訓話など中世の文学ジャンルの集大成であり、中世物語文学の最高傑作といえるだろう。

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