ペトラは、ヨルダン南部にある岩山都市の遺跡。死海から約80km南の渓谷に位置し、ペトラとは、ギリシャ語で岩を意味する。
古代都市ペトラは、かつてナバテア王国の首都であった。紀元前2世紀から2世紀初頭にかけて、アラビア、エジプト、シリア、フェニキアなどの重要な交易の要衝として栄え、1世紀初頭に最盛期を迎えた。特にスパイス交易の拠点として知られる。その後、106年にローマ帝国によって征服されたことにより、その歴史を閉じた。
聖書にはセラという名前で登場する。
約2000年前、アラブ人であるナバテア人がこの地に石造りの都市を建設。岩山を刻んで街を作り、壮麗なバラ色の砂岩を彫り抜いて作った建造物や墓所を数多く残している。
ペトラはその地形柄、雨が降ると鉄砲水となって渓谷内を通過する。そこでナバテア人はダムを作って鉄砲水を防ぎ、さらに水道管を通して給水システムを作り上げたことが分かっている。
建造物や彫刻群に古代東方文化とヘレニズム文化との融合が見られ、世界でも珍しい考古学遺跡の一つ。高さ30m、岩をくりぬいて築かれたカズネ・ファルウン(王の宝物殿)と呼ばれる建造物は特に有名。見事な円柱や細かな装飾も全て岩を彫ったもので、映画「インディジョーンズ・最後の聖戦」の舞台となったことでも知られる。
また、ペトラにはギリシャ神話のアマゾネス、エジプトの女神イシスなどの彫刻が残されており、様々な文明が行き交ったことを物語っている。
その他、エッディル(修道院)など、見所は多いが、何の目的で作られたのか、はっきりしない建造物が多い。
ローマ帝国の征服後、都市は砂に埋もれ、長く人々の記憶から忘れられることになったが、1812年、スイス人の探検家 ルートヴィヒ・ブルクハルトが発見し、20世紀の頭から発掘調査が行われ始めた。現在でも発掘は続いており、未だ遺跡の数パーセントしか完了していないと推定されている。
その他、映画 「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」 のラストシーン 聖杯の隠された遺跡として登場したことで一躍有名になった遺跡でもある。
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