ロワール地方は、古城以外にもその風景美と恵まれた自然のため、「フランスの庭」と呼ばれ、古くから多くの人に愛されてきた。 この地方を東西に横断するロワール川は、全長1020kmとフランスで最も長い川となっており、その流域にある渓谷には豊かな森が広がり、温暖な気候に恵まれた大地にはワイン用のブドウ畑や野菜の畑が続く。
ロワール川の中ほどにはロワールの古城と呼ばれる城が点在。その数は100を超えるとも言われており、そういった城の歴史というのは、外敵から町を守るために城塞が築かれ始めた11世紀までさかのぼる。
その後のルネッサンスの時代になると、フランスは国力を増し、17世紀には太陽王ルイ14世が強大な軍隊と財政を確保。政治、経済、文化的にもヨーロッパ最強の国へとのし上がり、フランスは絶対主義の頂点を極めていく。こうして、財力を持つ貴族たちは、自然や狩りを楽しむために、また、そこに暮らす一族の地位や財力、文化レベルを示すために、豪華な装飾を凝らした王侯貴族の住居としてのお城を築いていくことになったわけである。
なお、中央部にある有名な二重螺旋階段は、1516年にフランソワ1世が招待したレオナルド・ダ・ビンチの設計と言われている。
シュノンソー城は、ロワール川の支流であるシェール川に築かれ、6代に渡り(約400年)城主が全て女性であることから、「6人の奥方の城」と呼ばれ、16世紀に建造されたルネサンス様式の傑作は、権力に支配された女の人生を物語る。
また、この城を印象づけている、シェール川に架かる長さ60mの回廊は、3代目の城主であるカトリーヌ・ド・メディシスによって、イタリア様式に装飾された部分。
広大な庭園と森林、シェール川をまたぐその姿は絶頂の美である。
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