アイット・ベン・ハドゥは、4000メートル級の山々が続くアトラス山脈の中腹 ワルザザート近郊に位置する、要塞と住居を兼ねたカスバの集落。
「カスバ」とは、土で造った城を示す。アトラスの山深く暮らすベルベルの人々は、土で造った家に住み、独特の生活文化を築いてきた。
アトラス山脈の南側の地域はサハラ砂漠と地中海を結ぶ交易路であり、先住民ベルベル人が築いた要塞村が1000以上も残されている。そこに築かれた隊商都市として栄え、中でも特に有力であったハドゥ一族が築いたのがアイット・ベン・ハドゥの集落である。
盗賊が横行し、略奪の絶えなかった歴史の中で、身を守るために高い壁や見張り塔を持つ土の城・カスバが生まれた。敵の侵入を防ぐため、集落への入口はひとつしかなく、通路は入り組んでおり、1階は窓がなく換気口のみである。また、外壁には銃眼が施されている。また、集落の最上階には篭城に備えて食料庫がある。
家の壁は日干しレンガでできており、壁の厚さが50cmほど。40度を超える暑さでも室内を涼しく快適に保つ生活の知恵が生かされている。
13世紀頃まで教会として機能していたため、破壊から逃れることが出来、神殿としての保存状態は良い。
数ある古代エジプトの神殿群の中でも特に美しいことで知られる神殿である。
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