カジュラーホの建造物群

  1986年登録 / 文化遺産

カジュラホは、インド中部、マッディヤプラデシュ州の北部に位置する小さな村。 中世の寺院が数多く現存し、そのうちのいくつかはインド美術の中でも特筆すべきものである。
かつてはチャンデッラ朝(10〜13世紀)の首都として栄えていた。

カジュラーホでは現存する22の寺院を含め、80余りの寺院が950〜1050年に建立された。 寺院群は大きく3つに分けられ、東群には外壁に囲まれたジャイナ教寺院群とヒンドゥー教寺院がある。

ジャイナ教寺院群の南にある南群は、2つのヒンドゥー教寺院からなっている。
西群は最大の寺院群で、周囲を庭園に囲まれている。ここに属するカンダーリヤ・マハーデーバ寺院は、列柱を備えたホールをもち、カジュラーホ寺院群の中で最も大きく、装飾の秀麗さでも群をぬいている。3層にわたる壁面彫刻群は動物、神、戦士、踊り子などをモチーフとするが、中には性行為をあからさまに描写したミトゥナ像もあり、おそらくはタントラの思想を象徴しているものと思われる。

カジュラホは18世紀初頭に町は放棄され、寺院群も1838年にイギリス人に再発見されるまで地中に埋もれかけ、草の生いしげるままに放置されていた。

カジュラーホのヒンドゥー寺院は、10〜13世紀のインド中北部でよく見られた建築様式の典型であり、縦長の構造、内外の壁を埋め尽くす彫り模様、主尖塔とそれをとりまく尖塔群などが特徴。しかし、主要の交通網からも大きく外れ、へんぴな場所にあるため、インドの同時代の史蹟の中では比較的保存状態が良い。