ドゥッガ/トゥッガ

  1979年登録 / 文化遺産

ドゥッガは、チュニジア北部、チュニスから南西97km、標高600mの丘の上に位置する、ローマ時代の都市遺跡。 ドゥッガは、紀元前46年にローマの植民地となって以来、450年間続いた都市である。
チュニジアには数多くのローマ遺跡が点在するが、その中で北アフリカ最大にして最も保存状態が良いローマ遺跡として有名。

もともとは、紀元前200年頃に成立したヌミディア王国の主要都市として栄えたが、紀元前9世紀にはフェニキア人国家 カルタゴの影響下にあった。しかし、紀元前46年にカエサルが率いるローマ軍の支配下となり、ローマの属州となった。 その後、ドゥッガはローマへ送る農産物の集積地として発展し、3世紀には5000人が暮らす町へ成長。3〜4世紀にかけて最も繁栄したが、4世紀末にローマ帝国が東西に分裂してから次第に衰退し、滅亡した。

7世紀になると、イスラム教徒が侵攻。人々は1000年以上に渡って農業を営んできた。
発掘調査が始まったのは19世紀、フランスの考古学者らによる発掘だったが、ドゥッガの遺跡の上は土で覆われ、民家が立ち並んでいたために民家を別の場所へ移動。発掘が始まると、保存状態の良い市場や浴場、劇場などが土の中から姿を現す。これによってローマ都市の全貌が明らかになり、当時の生活や習慣を知ることができる重要な発見となった。 つまり、わずか100年前までは町がそのまま土の中に埋まっていた状態であった。

ドゥッガの遺跡で特に貴重だったのは、貴族の館の床から見つかったモザイクの傑作。

色とりどりの天然石をふんだんに使った見事な作品である。

その他、168年に建造された3500席の野外劇場をはじめ、ケレスティス神殿、共同浴場、アレクサンドロスの凱旋門、邸宅、城壁、水道、貯水場など考古学的に高い価値のある遺跡が25ヘクタールもの地に広がる。